◆日程: 2024/3/23~25
◆形態: 山スキー
◆人数: 7名 (M上、D山、H口、他4名)
◆ルート:
23日 仙岩トンネル-横長根-横岳-八合目避難小屋-アルパこまくさ-大釜温泉
24日 大釜温泉-孫六温泉-田代岱山荘-乳頭山―北東尾根-白沼-滝ノ上温泉ー網張温泉
25日 網張スキー場-黒倉山-大地獄谷-岩手山-P1467-焼切沢右岸尾根-七滝登山口
【報告:H口】
【報告:M上】
地図を見ると秋田駒ケ岳に登り下り乳頭山に登り反対側に下って最後に岩手山に登って下ると3つのピークを繋ぐことが出来ます。途中には乳頭温泉と網張温泉の宿が有り北米で言うHUT TO HUTの様に途中の小屋や宿をつないだスキー縦走になります。
20数年前計画して行いましたが今回はその時より年齢層が高くなるのでどこまでできるか疑問ですがまた行ってみたいと思い計画を公表するとD山さんとH口さんが参加、それに以前からの山仲間N村さんF澤さんO西夫妻がゲスト参加してくれました。
23日:前日秋田の田沢湖駅前の宿に泊まり朝バスで来るD山さんと合流してタクシーで県境の仙岩トンネル岩手県側の出口から8:30出発します。なるべく山全体を歩く計画にしましたので秋田駒ケ岳でも長いコースを選びました。田沢湖から登るのと違い秋田駒全体を見ながら登れるコースです。トンネル出口にある工事用の橋を渡りますが昨日まで降った雪にまだトレースはありません。急斜面をしばらく登り上の台地に着きましたが深くは無いのですがラッセルが続きます。横長根と言うカルデラの尾根に上がると風で固まった斜面が続きました。大きな谷を挟んで蒸気を噴出している女岳が見えます。登り続けますが良かった天候が下り始め雪も降りだして見えていた横岳山頂が雲の中に。
1m以上に伸びたエビノシッポのある尾根の最高部の1582m横岳に着いて秋田駒のピークに囲まれた阿弥陀池に滑り下りますがホワイトアウト状態の急斜面に苦労しました。一面真っ白で段差に気づかず先頭は3度も転げ落ちながらの下降が続きました。時間がかかってしまったので男女岳はパスし阿弥陀池避難小屋を過ぎ少し登って大きな雪庇の下を回って最後に谷に入ると徐々に視界が開け八合目小屋に着くことが出来ました。小屋の周りに学生らしい大勢のグループが。
計画ではここから笹森山に登って乳頭温泉に下るつもりでしたが結構疲れてアルパこまくさに下ることに変更しました。滑り自体は快適でしたが通常よりも北側を滑ったのでアルパこまくさのルートに戻るために小沢を2つ渡る羽目になり16:30アルパこまくさの施設に到着しました。少し待って乳頭温泉に行くバスに乗り今日の宿大釜温泉に着きました。赤茶けたお湯と秋田の田舎料理が疲れを癒してくれます。
24日:朝食を食べて7時45分出発です。今日は晴れ渡り日曜日なので乳頭山に登るパーティは多いようでトレースが出来上がってテンポよく登り乳頭山1478mに10時40分到着。
昨日下った真っ白な秋田駒の斜面が見えます。シュカブラの山頂から一段下ってスキーに変えました。そのまま下って行きましたが本来なら北東に伸びる1428mに登るかトラバースの必要があるのですが気持ちよく滑ったので少し東の尾根に下りました。
風のない所に下って今日はゆっくり昼食です。滝ノ上温泉に下るには1428mのピークから延びる尾根に乗らなければならないのでトラバースしシールで少し登り返しました。それでも地図には出てこない沢などあり少し時間を使ってしまいました。
尾根を標高1000mくらいまで下ると白沼が近づきますがその前の急斜面を下ります。雪も緩んで雪崩る可能性は有りなのですが表面が崩れ落ちれば何とかなると判断し注意して下りました。大きく剥がれ落ちるように崩れましたがそれで多少は安心です。続くメンバーは一人ずつ下りました。私の考えですがこのような雪の状態ではピットを掘っても安心を確保するのは難しいもので時間を考えればリードする先頭が多少リスクを冒すしかない場合もあります。
一段下ってまた少し急斜面を下ると白沼の真っ白な湖面がありました。白沼は尾根の途中にぽっかりと出現します。ここには岩手では天然記念物のモリアオガエルの生息地として有名で滝ノ上温泉から登山道が有り、その道沿いに下ると温泉に下れます。雪がだんだん悪くなりスキーのコントロールに苦労しなければなりませんでしたが15時少し前に下れました。
本日の計画としては大松倉山方向に登り返し小松倉山から網張温泉に下るつもりでしたが、そうするとこれから4時間近くはかかりそうでこれまたパス。葛根田渓谷にある滝ノ上温泉はどこも営業していません。上流に地熱発電所があり除雪した道路のゲートまで1時間半ほど歩かねばなりませんでしたがゲートに到着し網張温泉から迎えに来てもらい助かりました。網張温泉の食事は夕朝ビュッフェスタイルなのでついつい食べ過ぎてしまい毎日するはずの下山連絡を忘れて担当係のS口さんに心配をかけてしまいました。
25日:網張スキー場の一番上のリフトが動くのが9時30分なのでそれに合わせて出発です。本日も天候は良しで黒倉山の先のコルまで順調に進みます。途中から今まで歩いてきた秋田駒ケ岳や乳頭山、滝ノ上温泉の下りの尾根が眺望できました。
黒倉山の北側は大地獄谷の最上部になっており急斜面を滑り下ってカルデラの中に。ここから岩手山の上部をめざし多少ラッセルが続きますが良いペースで登って行きました。
本来ならこのあたりから帰りの下り時間を計算して結論を出さなければならないのですが天気が良いこともあって山頂を目指すことに。右側の鬼ヶ城の壁が近づいてきましたが避難小屋のある不動平まで登るのをやめて途中から岩手山の斜面を登りました。柔らかだった雪も固くなり始めましたので担いでいた装備を1750mあたりでデポしスキーで登り続けます。1950mあたりで傾斜も出てきたのでスキーもデポしてツボ足で山頂に登りました。さすがに3月の岩手山2038mですから風も強く長居が出来ないので到着順にスキーのデポ地まで下りましたが時間は16:00になっていました。
ここから歩けば夏時間で4時間半ほどですが甘く見てスキーなら3時間。下で暗くなっても森の中の下りで問題は無いと考えましたが誤算が生じました。ひどいモナカ雪の斜面が続きます。かなり苦労をして下り途中のカルデラの中にある御苗代湖に降りた時点で暗くなってきました。良かったのは月明りで周りの地形が分かったこととあまり気温が下がらなかったので気持ちに焦りがあまり無かったことです。しかしS口さんにビバークになるかもしれないとメールを送ろうとしたのですが届かない状態が続きました。
樹林の中を体力のあるヴォルフが先頭をやってくれます。ヴォルフとは何度かこの様な山行をしているので安心です。モナカ雪でスキーのコントロールができないので時間はかかりますがシールのままで下り続けました。沢を二つ渡って焼切沢の右岸を下り続けていたら途中でS口さんからのメールが入り一安心。自分たちが大丈夫でも連絡が着くと着かないとでは大違いです。メンバーも家族に下山が遅れることなどを連絡しました。
岩手山山頂、小さくメンバーが。
下山口の八幡平県民の森の道路に着いたのは翌日0:40になっていました。疲れは当然あるもののメンバーは元気で山行終了を喜びました。23時の時点でD山さんに地元のタクシー会社に連絡を入れてもらい盛岡まで送ってくれることになっていましたのでしばらく待つと迎えに来てくれ運転手さんは気の毒に思った様です。おかげで夜中に盛岡に着き泊まったホテルで小さく祝杯をあげることが出来ました。
最終日この様なことになり下山連絡係をお願いしたS口さんには前日も下山連絡を怠り二度も心配をおかけしていましたし会の皆さんにも心配をおかけしました。疲れたメンバーが出たりケガ人が出ればビバークもありましたが何とか下って山行を終えることが出来ました。我々の年齢では少し欲張った計画でしたが協力し合いそれなりに歩けたのでメンバーに感謝です。