◆日程:2019/7/14-15
◆形態: 沢登り
◆ルート:一ノ瀬林道下降点~一ノ瀬川~大常木谷遡行~山女魚淵検証~同沢下降~一ノ瀬林道
◆人数:3名
報告:N山
大常木谷(山女魚淵往復)
メンバー CL:N野、S田、N山
やっと来れた。東京では35℃を超えるかという灼熱の一日。我々は山女魚淵にたどり着いた。思えば一年前、TさんRさんが大常木沢で流されて亡くなったあと、すぐにでも行って検証がしたかったが、カミロウで負傷した足ではどうしようもなかった。それから納骨、偲ぶ会を経て、少しずつ自分の中で昇華され、検証に行くのが本当に必要なのかという弱い気持ちが出始めていた。
自分の都合で合わせてもらった7月最終週の予定が台風で延期になり、8月4日の日帰りでの検証となった。N野さんがリーダーに名乗り出てくれる。
6時過ぎに一之瀬川への下降開始。踏み跡はしっかりしているが、ガイドにある通り急なやせ尾根で慎重に下る。下降した付近に一応石を積んでマーキング。水は多めのような気もするが、徒渉に苦労することはない。おそらくはTさんRさんが入渓したときよりもかなり少ないと思われる。五間の滝はなかなかの迫力で一瞬たじろぐが、なるほど水流右側に階段状にステップがある。
千苦の滝の巻きにも踏み跡があるが、途中で見失い尾根状になるまで上がってしまう。N野が懸垂して正規のルートに戻る。最近この巻き上がり過ぎのミスが多い。巻きは低く低くが基本ですね。そのあとゴーロとナメを何回か繰り返すと山女魚淵である。
到着すると同時に、山女魚淵から5、60cmくらいの流木が流れてくる。ちょっと不自然な感じで流れており、Tさんが「これを検証につかえ」と上流から持ってきたような気もする。ひとまず中州に引きあげて、線香と花で順番に手を合わせる。検証の内容は現場の寸法取り、ルートの確認、水中の地形確認、さらし場の渦に巻き込まれてみる等。かならず下流側からの確保をした上で実施した。流木についてもさらし場に投げ込んでみて、水流を確認した(結果については報告書参照)。
当然、当日の水量と比べれば少ないだろうし事実はわからないが、実際に淵を潜ってみたり、まわりの岩に触れてみてあの日何が起こったのか自分なりに腹落ちさせることができた。
下界では熱中症で何人搬送されたというニュースが流れていたハズであるが、こちらは低体温症気味。テルモスの暖かいお茶がありがたい。
最後に、S田さんが運び上げてくれた花束をさらし場に流して皆で静かに手を合わせる。あの一年前の、心臓を素手でつかまれているような息苦しさを思い出す。
帰りはところどころ真夏の日差しが差し込む谷を下る。千苦の滝は滝の落ち口左岸の明確な踏み後を下るが、最後は懸垂して河原まで降りた。五間の滝は左岸の支点を利用して懸垂下降。時々釜で泳いで体を冷却しながら下る。一之瀬川に合流し、屈曲部のやせ尾根を大汗をかきながら上がり車に戻り至福のたばこを一服。
さて、検証の結果に対してTさんRさんが「その通り!」と言ってくれているか、「ちがうんだよなぁ」と言っているかはわからないが、どっちにしても笑ってくれているような気がする。立ち上る煙を楽しみながら(自己満足には違いないが)来てよかったと思った。メンバーと企画してくれたT野さんに感謝です。
一之瀬川下降点 6:10~9:00 山女魚淵(検証) 12:30~15:30一之瀬川下降