◆日程:2022年4月9日(土)
◆形態:ハイキング
◆人数4名(S順、S京、K藤 +1名)
◆ルート:
 8:45 新茅荘の無料駐車場 ~ 9:00 懸垂岩 12時ころ昼食。暗くなる前に終了

報告:S順
 丸一日かけて、”少人数”(コレが肝要)で確認/実践/検討/実験することは意義深いと予想してましたが、その通りでした。沢シーズン直前でないので、おそらく懸垂岩は混雑してないとの予想もその通りでした(9時ちょい前到着時、おおむね3つのアンカーのうち左は2人パーティ、右は単独者、真ん中は空き。昼前に単独者は帰還) やってみて発見・確認された重要なことをいくつか(後で詳しく)。大切なので最初に記します。簡単に書くつもりが長くなってます、いつもながらすみませんね~(笑)

@@1 △×大いなる危険×△ – バッチマンが効かない形状のカラビナがある
 8mmシングルでのみでしか実験してませんが、カラビナの側面が凹状にくぼんでいると、バッチマンの巻き数を可能なかぎり多くしても、全く使い物にならないことがありました。これは私が持っていたある一種類のカラビナのみのことで、私は8mmシングルでのフリクションヒッチは必ず4mmのロープシュリンゲを用いているので、4mmでのことです。
 ともかく重大なことは、バッチマンが効かないケースが存在することが発見されたということです。 効かない理由はこうだと確信されました⇒バッチマンの時、カラビナの側面にロープが接触し、それをシュリンゲが何回か巻いて締め付けるわけですが、側面が凹状になっているために、ロープとの摩擦面積が小さくなるからでしょう。なので、巻き数を可能なかぎり多くしてましたがそれでもダメ。つまり、当該カラビナはバッチマンには使用できないということ。沢ではセカンドがバッチマンで登ることがしばしばなので、このことは会員で共有するべきだと思いました。  但し、その場で思いつかなくテストしなかったことは、もしもその形状のカラビナに5mmシュリンゲを用いたら有効なのかということ。常識的には、ロープ径に対してシュリンゲが太いほどフリクションは小さくなるわけですが、もしかしたら? もしも、意外なことにそうだとしてもその形状のビナは危険なので使用してはならないという結論は同じ。この結論は私が所有しているそのカラビナについてのことにすぎません。

クライマー一般についての教訓とか必要な工夫はこうなりましょう。
 ★バッチマンを用いるとしたら、事前テストでOKと判明しているカラビナのみ使用
 ★バッチマンは一切用いない(常にクレイムハイストまたはブリッジプルージック)ちなみに、私は沢であれ岩登りであれ常にアセンダー(荷揚げに用いる取って付き。最も重いタイプ)を持参してます。(アセンダーの重さなぞ70kgの自分からしてたいしたことないと思うのです。体重45kgの人なら重いアセンダーには支障あるかも)
 ちなみに、アセンダーのうち最軽量のタイブロックはすっぽ抜けの危険が改良されたとはいえ今でもあるでしょうから、おっかなくて使用する気持ちになれません。ただし、タイブロックは荷揚げとか負傷者の引き上げ(1/3, 1/5過重のシステム)とかでの自動ブロックには有効なので、パーティーには一つはあるべきと考えます。

@@2 △8mmシングルロープに、6mmシュリンゲのフリクションヒッチは使用禁止(結論)
 バッチマン/オートブロック/クレイムハイストのいずれにても6mmシュリンゲはロックしにくいことが確認されました。クレイムハイストで可能な限りぎりぎり多く巻くとなんとか止まりましたが、実験状況は沢にてセカンドでいきなり墜落して全体重がかかるような状況での「なんとか止まった」のではありません。結論として、8mmロープに6mmシュリンゲは使用厳禁ということでよいと思います。もともと、フリクションヒッチはロープ径の半分以下と言われてますので、言われていたことが確認されたということです。
 ※ダブルロープに関しては、6mmシュリンゲのフリクションヒッチでも問題なし

@@3 ▲重大な課題▲ – ATCガイド/ルベルソのガイドモードでのフォロワー確保にて、
フォロワーが墜落等してロックした時、フォロワーがロープを緩めてもらう必要ありの時の困難さ これは重大なことなので、前提となる事実と、私のトホホ経過含めて詳しく解説しま
す。話しが長すぎると思われること確実ですが、本気で読みましたら理解は可能だと思います。解説のまとめは各自で宜しくであります。

 最初に、沢でもロッククライミングでも一昔前は広く使用されていたATC(Black Diamond/通称ブタっ鼻)の仕様を記します。

シングルロープ (9.0~11.0 mm)、ダブルロープ (8.9~11.0mm)、ツインロープ (7.7~11.0mm)。

 谷川岳とかのクラシックルートでのマルチピッチではエイト環よりも、ATCが使いやすい(後続2人の確保がやりやすい)ことがだんだんとクライマー・沢屋に体感されるようになり、エイト環(後続2人の確保はやりにくい)は本来の懸垂下降専用のデバイスとなっていきました。ATCによる懸垂下降は危険だというような認識が当初は広くありました。事実、エイト環だと懸垂下降における摩擦の強さ調整が3種類ほどできるのです
が、ATCだとそんなことはできないわけで、懸垂下降に関してはエイト環よりもATC(但し古いタイプのこと)が劣るのは今でも事実だとは思います。それでも、沢にしても岩登りにしても、主流はATCになってきて、エイト環を沢等に持って行くひとは少数派になっていると思います。

 沢での8mmロープで普通に用いられており、仕様書からすると8mmは危険なのでいけませんという話しはなかったし、現実に問題なしだとみなされてよいと思います。

 旧来のATCの仕様書に戻ります。9mmダブルロープが基本であるアルパインクライミングにしても、岩登りゲレンデで通常の11mmシングルに関してもATCは対応しております。なので、それらロッククライミングにての、ATCは Black Diamond 社が保証する範疇。 沢登りはどうか? シングルロープについては9mm~11mmが保証内なのですが、現実に規格外だと知りつつ誰かが用い始めたのだと推察されます。結果として、規格外使用が問題となった事例は無かったと思います。現実に問題なしならば、それでよいわけです

 旧来のATCはセカンド確保において、今時のそれとは違いセカンドが墜落した時に自動ロックはしませんが、セカンドが墜落して確保者が止めた時であって、セカンドが下ろしてとコールした時、容易にそれができました。ところが、今時のATCガイド/ATCアルパインガイド/ルベルソだと”容易に”はできません。このことが、本稿の主題であります。

ガイドモード(フォロワーの墜落等にて自動ロック)可能なデバイス三種類をとりあげます。これらはいずれもフリクションがノーマルとハイの使い分け可能。
a1) ATCアルパインガイド(Black Diamond):シングルロープ (8.5~9.0mm)、ダブルロープ (7.3~9.0mm)、ツインロープ (6.9~9.0 mm)

a2)ATCガイド(同):シングルロープ (8.9~11.0mm)、ダブルロープ (8.1~11.0mm)、ツインロープ (8.1~11.0mm)

b) ルベルソ(PETZL): シングルロープ (8.5~10.5 mm)、ダブルロープ (7.1~9.2mm)、ツインロープ (6.9~9.2 mm)

// 中心課題からの脱線開始(無意味でないと思うので解説させてください。)

  • 沢登りにて8.0~9.0mmロープ(シングルであれダブルであれ)のみ使用するなら どれでも良いと考えられますが、最良はa1と言えるでしょう- 人工壁やクラシックではないフリークライミングゲレンデにて10mm以上のロープを用いるならば、a1 は宜しくない。
     ということで、沢only、沢andフリークライミング、フリークライミングonlyのいずれの場合でものベストは a2 ではないでしょうか。というのは、いわゆるフリージャー
    ナリストルールにては10mmダブルはしばしばあるので、ルベルソだとダブルは9.2mmまでが規格内。規格より太いロープだと、無理矢理に押し込むことはできるかもですが、ビレイにおいて流れが非常に悪くなるので宜しく無いと思うからです。
     デバイスの規格より細いロープ使用は形式的には問題ありかもしれませんが、現実には問題なしと思います。ハイフリクションモードで確保することでもできるし。情け無いことに、私は事前の詳しい知識なく、店で見てたまたま a1 を買いました。後から、それだと 10mm以上のロープは不適だと知り、 a2 を追加購入。最初から a2 のみゲットするべきでした。沢では a1 沢以外の人工壁では a2 と使い分けするようにしてましたが、全て a2 で良いと、さきほどわかった次第です。
    // 中心課題からの脱線終了

ようやく本題です。
★★★ATCガイド/ATCアルパインガイド/ルベルソによりフォロワーの確保しているとき
に、フォロワーが墜落等⇒自動的にロック。

★★問題/課題★★ その1 – 前述の『沢登り』という書物“のみ”に記載の危険
 ロックした場合であって、フォロワーをおろす必要があるとき、簡単にロック解除できない。解除するやり方に習熟してないとならないとのこと。このことが昨日確認されました。
 ちなみに、私が購入した a1/a2(ATCガイド等)の解説書にはガイドモードでのビレイにおけるロック解除についてほとんどまともな記載なしでした。説明書のみでは全くわからないことは断言できます。
 もしかしたらフォロワーのビレイでガイドモードだと「自動ロックとなるのでれは良いことだ」と確信して実践しているクライマー・沢登り者の1/3くらいはロック解除の方法を知らないのではないかと心配してます。1/2以上はロック解除の方法は知ってはいても、それに習熟してはないのではないでしょうか。 昨日、最後にロック解除の二つの方法をテストしました。

1)カラビナのゲートを開けて、カラビナの一端(ノーズ)をリリースホールに引っかけて、上に引っ張って緩める方法
 結果⇒確かに緩むのですが、幾度が行った試行において、一気にフリーとなりフォロワーがそのままフリーで墜落するようなことになりそうな事態になりました。この実験
はテラスにて、私が自己ビレイありで体重をかけてしたものです。

2)リリースホールに直径4mmシュリンゲを引っかけて、上にあるカラビナに通し、シュリンゲを手又は足で強く下に下げて緩ませる方法 これは 1) の方法よりも緩めることが容易に感じられました。それでも、緩めすぎてフォロワーが落ちてしまうリスクは深刻だと感じられました。

 以上のような危険があることが確認されました。前述の『沢登り』という書物だけには、緩ませる前に、クレイムハイストを設置して、緩ませすぎの墜落においての自動ロックを用意するべしと記載。その場合でも、手順はかなりややこしいのです。ややこしい手順をテストはしてなかったので、これは @@次回の課題。
詳細は『沢登り』の81ページに。

 以上、テスト結果と解説書について記したように、ガイドモードの危険については認識されるべきであり、ロック解除の方法については、日常的な山行とは別に”そのことのみ”を習得課題として練習しなければならないというのが私の結論です。

 もう一つの結論は、ガイドモード解除を身につけてない人は、フォロワーのロープをマスターポイント(アンカーの決定的な支点)にターンしてボディービレイすること。これだと、容易に危険に陥ったフォロワーを下ろすことができます。 ガイドモードでフォロワーが墜落してロックした時に、必要なら速やかにフォロワーを下ろす必要がある時、「それは困難、その技術に習熟すべし」というようなことが『フリークライミング』122pageにも記載されてます。

ATC/ルベルソのガイドモードにはメリットがありますが、稀に起きる大きな危険があり、そのことについての認識が一般に不足しており、非常事態への対応を習得している人は少数なのではないかと危惧してます。自分はこれまで一度もガイドモードでのセカンド確保をしてません。してなかった理由は、単に知らなかったからだけであり、危険だからではありません。今回のテスト結果、ガイドモードでのセカンド確保はする気持ちになれません。マスターポイントにターンしてのボディビレイとします。恥ずかしながら申しますが、これまで、フォロワーの確保はマスターポイントにATCを接続しての非ガイドモード。昔はこのようなことが普通でしたが、今時はダメとのこと。これも最近知りました。けども、谷川岳などのクラシックルートでセカンドがちょいとスリップした時、容易に止めることができてました。それでもいいじゃないのと思わなくはないのですが、今後はターンビレイonlyとすることを決めました。
 セカンドが宙ぶらりんになるような危険が絶対にないようなルートではガイドモードでも良いことは確かですが、ガイドモードはしてないのでそれに慣れていることはあり得ないので、私はガイドモードはできないししません。

@@4 バックアップありの懸垂下降について
 Kさんは日常的にしております。見てわかったことは少しずつしか下降できないこと。S京は初めて実践。なんとかできました、やはり少しずつのみ。
 この方法だとバックアップのそれよりも、二倍以上の時間がかかることが確認されました。ゆっくり下降ということは、アンカーにかかる重さはずっと軽いということなので、アンカー崩壊の危険は小さくなる、これは間違いありません。けども、バックアップなし懸垂下降の時、アンカーが弱いときは、負担をかけないようにそろそろと下降するわけで、アンカーに対する負荷が軽くなるメリットは小さいのであります。
 一番の心配は、オートブロックを手で移動させる作業が必要なこと。いきなり足を踏み外した時、オートブロックを握ったならば、停止しないのではないか? この危惧は多くの人が抱くと思いますが、足を踏み外したような時に、オートブロックに全体重(静止荷重を超えての衝撃荷重[←この言葉で正しい?])がかかるわけで、手でオートブロックを本能的に握った力よりも、前者がはるかに強いので、自動的に止まるのであろうと考えるに至りました。けども、その「考え」には事実による確証がありません。というよりは、事実による確証を知りません。事実による確証をネット検索したら見つかる
かもしれませんが、おそらくないでしょう。何故ならば、事実による確証とは沢山の実験なしでは決してできないからでありまして、そのような実験を誰もするはずないからです。
 結論はこうなります。その方法は少なくとも禁止されるべきではない、何故ならばこれまでその方法による事故は知られていないから。ただし、その方法による事故についてネットで検索はしてませんが、この文書で言及した最近の書物にては推奨とは明確に書かれてないのですが、さらりとその方法が記載されてます。おそらくは、バックアップありの懸垂下降に関しての危険性がプロガイド達からは無いとみなされているからだと思います。危険性を示す事例を知っているにの軽視しているのではなく、それが現実に重大事故をもたらしたケースが一度もなかったのかも知れません。

《私の結論》
 沢登り者/クライマーの全員について、二つの方法に関して、もしも事故リスクの総合的判定をしたら差異はないと確信する。ただし、1人1人については、リスクの大きさは違うと思う。
どちらか一つのみに習熟するのが総合的にリスクが最小になると考えられる。バックアップ有り懸垂が当たり前になってる人はそれを継続するのが良い。そうでない人は無し懸垂継続でよい。ただし、両方に習熟できるような器用な人は、両方を習熟して、その時の状況でどちらかを選択したら良い。