◆日程:2024/10/14
◆形態:沢登り
◆人数:2名 (H多、N山)
◆ルート:
車デポ地(Co 830m)06:15->入渓07:20->二俣(西俣へ)08:20->登山道11:00->井戸沢下降11:30->登山道14:30->車デポ地15:30
(報告:N山)
9月の連休、天気に振り回されて、桃尻室谷川→那須苦土川大沢→御嶽鈴ケ沢 と行先を転進した。そんなわけで那須苦土川大沢のことは良く調べていたので10月の連休に行ってみることにした。N山がF2をリードすることと50mロープを持参することを条件に、H多が「リーダーやったるわ」とのことで条件をのんだ。那須道の駅湯の香しおばら道の駅ので仮眠の予定であったが、記憶違いで(おそらく尾瀬方面の道の駅と勘違い)目当ての場所がない。結局深山ダムの大きな駐車場で寝ることにした。H多が持ってきた酒に加えて、ドラクエのスライムみたいなビンに入った栃木の日本酒をクイクイと飲んでしまい、1時間ですっかり出来上がった。爆死状態で寝に入ったはずであったが、「ぎょえー」やら「くぇー」やら怪しい動物の鳴き声が入れ替わり立ち代わり聞こえてきてドラクエの夜は眠りが浅かった。
朝、テントの周りを遠巻きにまわる野犬のような鳴き声で、4:30に仕掛けた目覚ましの起動前に目覚める。お湯を沸かして食事を済ませてテントを撤収していると明るくなってきた。夜中睡眠を妨害した獣たちの鳴き声は夜明けと同時に消えていた。車でダムを渡り、車デポ地まで20~30分位。途中深山橋で準備しようとしていたら車が一台さらに奥に入っていった。追っかけて林道に入ってみたが、私の車でも通過できた。先行の車は3人パーティで、同じ大沢遡行井戸沢を下降予定とのことであった。当然先行していただく。入渓点まで10以上(どなたかの記録には14基)の堰堤をパスしなくてはならないが、道は段々と不明瞭になっていく。H多は超元気で歌など歌いながら歩いているが、N山は超二日酔いでなにを聞かれても「ゲロゲロ」としか返事できない。二度ほど河原に降りて、やっぱり登って踏み跡を探す作業を繰り返し入渓点に到着。先行の3人Pが小休止していた。で、当然休むのかと思っていたら、H多は全然休む気なしで、先行Pを追い抜こうとする。「ゲロゲロゲ~」と待つことを訴えたが、銀座の快速娘は止まらない。3人Pの方々も2人Pよりロープを出す箇所で時間がかかるだろうとの気遣いからか先を譲ってくださる。F1までのゴーロ歩きは吐きそうで今年一できつかった。
ゲロゲロ状態でF1着
F1は流れの右側のステップ状を上がり、F2の基部で50mロープを出して準備する。右岸のルンゼの中段まではフリーで上がれるが、そこから右の壁にとりつくところはちょっとフリーでは怖い感じ。ここまで支点なしなので、ここでしっかりと二本のハーケンで支点をつくった。核心はマントルみたいなムーブだったと思うが滑(ぬめ)っていなければそんなに悪くない。灌木でもう一箇所支点をとって上がっていくと、バケツ(人が座ってすっぽり入れる凹み)があり一応ハーケンを側壁に一本入れて自己ビレイをとりH多を腰絡みで確保した。
F2 左のルンゼを上がり中段から落ち口目指して上がる
ここから左俣分岐までは滝の連続。この沢どの記録をみても必ずF1とF2は出てくるが、F3以降を特定していない。確かにF2以降はずっと滝が続くので意味がないのであろう。まさに いち、にい、たくさん。それぞれの滝をフリーで超えていったが、もし癒し系の沢にあったらロープ出すかも という滝が二か所位あった。左俣の分岐で小休止。なんとかゲロゲロはおさまり、お茶と圧縮パンを頬張る。気が付けば天気も良くなってきて秋空が拡がっている。左俣の40m滝は傾斜が緩く、登り易いところを拾い、高度感が出てきたところで草付きに入ればロープは不要。
左俣分岐の滝
その上の15mは記録では直登、左巻及び右巻も可能とのことであったが、ゴキの背中みたいな色の直登ルートはさっさと諦め、ルート明瞭な左の壁沿いを選択。最後に壁に突き当たり、一度滝に出るところがちょっとチビる。そこからはがれ歩きとなり高度を稼ぐと、40m大滝が見えてくる。
ここはH多リードの予定なのでハーケンやらビナをまとめて渡そうとしたら、「N山さんリードしますか」と弱気なことを言い始める。「何のために大沢に来たの? さっさと登れば」と返したら、本当にさっさと登っていき、7箇所支点をとってロープを40m伸ばしてさっさとビレイ解除となった。ちょっとムッとしたが、ハーケンを打ちそこねて落としそうになりオロオロしていたところは(例によって)おじさんちょっと嬉しかった。
大滝40m H多リード
大滝の上も結構登りにくい滝があったりで、ヤブの中に突っ込んだり、笹を頼りに登ったりで結構疲れる。そこそこの藪漕ぎとなり先頭を突き進むH多に「先頭疲れたら言ってください」と形だけは伝えた。が、変わる気ゼロ。なんとか腰程度の笹原に飛び出すと景色も良くなり楽になった。稜線は風が強そうだ。一つ尾根を越えて11時頃に登山道に出た。予定よりずいぶん前倒しで到達できたことを喜びグータッチ。さあ休むのかと思いきや、「下降点まで行きましょう」とH多。快速娘は止まれない。稜線は風が強いが、気持ちの良い草原状。久しぶりに頭のなかにサウンドオブミュージックの「全ての山に登れ」が流れる。本格的な紅葉には少し早いかな。
後ろは沼原湖(揚水発電用の「ため池」)
気持ちの良い笹尾根
井戸沢の下降は滝の少ない右俣ねらい。ちょっと手を抜いて早めに下降をはじめたら、一本手前の枝沢を降りてしまった。結構ヌメった滝があり右俣合流まで苦労する。その先左俣の合流まではすぐだったが、そこから先はヌメりが強く足を置くのに気を使う。笹薮のなかに突っ込んでズルズルと降りたり、ヌメりを避けるために水流を浴びたりしているうちに、だんだんとH多の顔が般若の面の様になってきた。下りはあまり得意ではないらしい。で12mの滝は右岸に藪の中のルートが見えたが、気分を変えて左壁を懸垂し怒りを鎮めた。それでも「これはク〇沢って言うんじゃあ~りませんか」などと悪態を吐いている。たしかに消化試合のしかも下降で使えばどこも〇ソ沢になってしまうかなぁ。
あとでよくよく写真を見返してみたら美しい滝が続いているので晴れた日に登るのは楽しいはず。
最後のF1の懸垂を終えて入渓点の堰堤に出るころにはヨレヨレの爺(じい)と婆(ばあ)になっていた。林道に出て、足元の怪しい爺と婆の沢屋が三斗小屋跡付近を歩いていると、若い男性の沢屋二人が対面から歩いてきた。今日は温泉に泊まって、明日井戸沢を遡行するという。婆は井戸沢の状況を「酢豚の豚肉みたいでした」という訳のわからない説明をしたので、若いお二人のアタマの上に?マークが浮かんでいた。「茶色くヌメってました。」という爺の翻訳により納得していただいたと思う。
そこから先の林道はサルだらけ。爺はイザというときのために石を握りしめて歩いていたが、婆は ウッキー! などとサルに話しかけていた。このままサル社会に置き去りにすればザイルパートナー(など)が見つかって万事OKなのではとちょっと思ったが、まだ今日のガソリン代を貰っていないので、ぎゅっと石を握りしめて口にするのを我慢した。。
車まで戻るとまだ3人Pは戻っていなかった。滝を登るのでいっぱいいっぱいの我々とちがって、若いメンバーにきのこのことなど説明などしながら余裕で登っていたので、どこかで食事会なぞされているのかも。
帰りは幸乃湯温泉に立ち寄った。料金は800円だが17時を回ると500円になるのだとか。N山はどこの温泉にいっても内湯のみで露天風呂など入らずに20分位で行水完了するのだが、ここの露天はHPの通り綺麗で大きくて、さらに一人だけだったのでいつもより少しだけゆっくりしてから帰途についた。
帰りの車の中で、「あのさー 昨日の泊地の手前で黒い影が車の前横切ったけど、ありゃ 熊だったような・・・」(爺) 「そうだよね。おっかなくて言わなかった。」(婆) 汗;
車デポ地(Co 830m)06:15->入渓07:20->二俣(西俣へ)08:20->登山道11:00->井戸沢下降11:30->登山道14:30->車デポ地15:30