穂高 横尾尾根 雪山バリエーション

◆日程:2017/4/29-5/2
◆形態:雪バリ
◆人数:3名

L T木(黒稜)、Y井、N野
(記:Y井)

4/29
6:50上高地発 9:20横尾 10:30 3ルンぜ取付 12:40ルンゼ上(コル)14:00 P4手前(2250m)幕営

4/30
2:50起床 4:50発 10:00横尾の歯終了 13:30テングのコル(2600m)幕営

5/1
3:15起床 5:10発 6:50主稜線 7:30南岳冬期小屋(停滞)5/2 4:00起床 5:30発 7:40槍平 11:20新穂高温泉

黒稜のT木さんの提案で横尾尾根に行くことになった。3月末に決めたのに上高地まで入るさわやか信州号は既に満席で新宿発20:50松本着24:38のバスを手配したとのこと。4月に入って参加を決めたN野さんはさらに1時間ほど遅いバス。4:45発の松本電鉄で新島々へ、バスで乗継ぎ6:25上高地着。10年ぶりの穂高だが、松本駅も上高地へのアプローチ方法も変わって戸惑う。

4/29
天気予報では4月29日と5月1日が良くないとのことだがなんとか天候はもった。横尾尾根の核心部の「横尾の歯」よりアプローチの3ルンゼの方が悪かったという記録もあり、3ルンゼの登りを心配したのだが雪は比較的締まっており標高差400mを2時間で登る。コルからは急傾斜の木登り斜面。そのまま取り付くと以外に悪く途中でロープを出すが、ザックを置いてハーネスを着けるスペースがなく丸腰にロープを結わえ曖昧な確保で何とか登る。最初にロープやハーネスを準備していればなんでもなかったのだが。この登りで疲れて次のギャップを下りP4を登り返す元気がなく、時間は早いが緩い傾斜の稜線の雪を均してテントを張る。

4/30
本日は快晴。今度は最初から急斜面ではロープを出す。気温が上がってきて雪が腐る。岩稜のナイフリッジである横尾の歯の下り部分はアイゼンが雪でダンゴになり足元の雪は崩れ嫌らしかった。テングのコルに13:30着。核心部が終わって後は主稜線に出て新穂高温泉に下るだけ。さらに雪はグズグズでラッセルになるので、今日はここで幕営し翌朝雪の固いうちに登ることにする。前穂、奥穂、北穂、槍が身近に見える。こういう展望のロケーションは他にない。テントの外でのんびり景色を楽しむ。槍に拘る者はだれもおらず明日は槍ヶ岳山荘まで行くのは止め、南岳から西尾根を下ることにする。午前中に下山できるだろうと話し合う。気温が上がったためか雪崩の音が不気味に響く。

5/1
ガスって視界がない。雪庇に近づかないように気をつけながら急斜面を登る。主稜線に出ると視界は少し開けたが強烈な風に吹雪かれよたよたと南岳の冬期避難小屋を目指す。7:30着。小屋には関西の3人パーティが先客でいた。彼らは新穂高温泉から槍ヶ岳に登り、昨日この小屋に入ったが悪天のため寝ながら待機しているとのこと。我々は昼までに吹雪が収まれば下山しようとザックに座ってテントのフライをかぶって待機するが寒さで震えが止まらない。10時頃、関西パーティの1人が山テン情報の更新に外に出て戻ってきた。この後低気圧の通過でさらに天候は悪化し夕方に収まるとのこと。我々も停滞を決めテントを張る。小屋の入り口は持ち上げ式の鉄の扉で防風は完璧だが扉を閉めると部屋は真っ暗だ。コンロをつけてお茶を飲んだ後はやることがないので寝て過ごす。奥にトイレがあり、木の香りがして小綺麗だった。

5/2
今日は晴天、風もない。関西パーティが先に行くかと思ったら写真を撮ったりしているので我々が先に下る。ピッケル、バイルをしまいストックで南岳西尾根(新道)を歩き出すがだんだん稜線が狭くなりピッケルを出す。稜線はさらにナイフリッジになり靴幅程度になる。両側は数百メートル切れ落ちている。ストックをしまいバイルに替えるがピッケルが短いのでかえって歩きづらい。後ろ向きで下ってみるが傾斜が緩いのでこれも歩きづらい。もたもたしていると関西パーティが待っているようなので谷側に避けて先頭を代わってもらう。彼らのトレースを歩いても雪が沈み込むのでやはり慎重に歩く。リッジは小ピークに登り返しその先は崖になっているようだ。崖の先も悪そうなので彼らは北側の谷(南沢)を下るという。雪崩が心配だが我々も間隔をあけて谷を下る。昨日の風のせいか表面の雪は締まっていて大丈夫そうだが一気に下る。谷が狭まるあたりはデブリだらけだった。槍平小屋近くまで下って休憩する。ここから関西パーティと別れて先に下るが、白出沢出会いからは林道が本流から少し離れてあったようだが我々は気づかず本流沿いに下ったので新穂高温泉についたら彼らの方が先に着いていた。我々はだれもカメラを持ってきていなかったので今朝の写真を送って欲しいと依頼すると、リーダーらしき人が名刺をくれた。彼らは山岳会でなく同じ職場の仲間とのこと。平湯経由でバスで松本に出、新宿行のバスは満席とのことでJRで帰京する。 *関西パーティのリーダーは片山貴信さんといい、HPによると10代の頃バイクレースで大けがをし、左腕の麻痺等を乗り越え登山を始め昨年はアコンカグア、今年はエルブースを目指すとのこと。

Y井

撮影:T木

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